今回も焼き物、ガラス、仏さまなど、いろいろ出品しております。
3月13日(日) 22時40分〜21時50分ごろ終了予定です。
皆さまのご入札をお待ちしております。
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昨晩の店でのこと。
ふと目に入って来て、一瞬ぎょっとしました。
この人、仕事もせんとなにやってはんにゃろ?
ハットリさんが以前から合間をみてはせっせと制作してはるのは知っていましたが・・・。
ハットリさんのお箸作り。
数年前、某有名お箸屋さんのお箸を見たハットリさんが、傲慢にも「俺もっとえぇの作れそうやなぁ。作ってみよ。」などと宣っておりました。
ほんで、普通のお箸屋さんにないものをということで、しゃかしゃか自分の分を作り始め。
ベースは市販の普通のお箸の中から木目の良いものを厳選。
市販にないようなものを作るということで思いついたのが、持ち手部分は八角なのに先端に行くにつれ四角に変化するといった凝った形。
髪の毛一本分まで調整してみようということで、紙やすりで手削り。
某有名お箸屋さんの拭き漆が七回という情報をゲットしたので、取りあえずやってみるかと、そこまでやって意味があるのかどうかは判りませんが、十回以上日本産の最高の漆を拭き続け(店の漆、無駄使い。)、あほみたいに時間と手間をかけて完成したハットリさんのお箸。
「で、どうよ?私の分も作ってよ。」と言うと、ハットリさんイマイチ浮かない顔。
「なんなん?失敗しはりましたんか?」と聞くと、「ちゃうねん。形に凝りすぎて、先端をすごいシャープに仕上げたら、米粒ひと粒でもつまめるくらいで口当たりも最高なんやけど・・・。」
私「すごいやん。で、何があかんの?」。ハットリさん「豆腐がナイフのように切れてしまって、つままれへんねん・・・。麺も切れてしまうんや・・・。やり過ぎた・・・。」
何事にも限度あり。
過ぎたるは及ばざるが如し。
それでもせっかく作ったんやしと冒頭の頃から数年使い込んだようで、丈夫さは保証済みのようですが、ハットリさん曰く、先端は少々鈍い方が良い、拭き漆は七回、八回を超えてくるとほとんど変わらないのでそれ以上の拭き漆は即ちあまり意味がない。
ってことは普通のお箸で十分やん。
なんとか用とか特化型のお箸が流行っているようですが、万能に使おうと思うとやっぱり普通の形になる、ということを、数年という年月と無駄な材料費を使って身を以て知ったようです。
今回の画像。
数年前に作った先端がナイフで豆腐食べられへんお箸のメンテナンスと、新しいお箸の制作。
即ち普通のお箸。先がナイフじゃないやつ。麺もちゃんと食べられる鈍いやつ。
拭き漆の回数も普通。
「結局俺にはなんにも新しいことは出来ひんかった・・・。もはや箸は完成していた。」と敗北感溢れる寂しそうなコメントをするハットリさんの背中に一言。
「こっとう屋やから、新しいもん作らんでもいいんです。えぇから古物商いの仕事をちゃんとしてください。」